死は存在しない

2023年01月25日 風の戯言

田坂広志なる人の最新著作。「死は存在しない」

サルトルのニヒリズムに心酔した人間にとって、死とは「無」に戻る安らぎの世界だった。
ヤスパースのポジティブ・ニヒリズムは、だから「無」に帰る直前まで必死に生きろという教えだった。
科学の死は物質の消滅であり、それは哲学で納得できた。
宗教には天国や極楽があり、あの世がある。

ニヒリストがお寺や神社にお参りする、自分の中の矛盾を不思議に思っていた。
先祖が世話になった清龍寺、石塚家の菩提寺安住寺、自分の墓を建てた周光院。
知行不一致。

般若心経の「色則是空 空即是色」はニヒリズムに生きる者にとって、判ったようで判らない悩み続けた謎だった。
全てに絶望していても、わが身におりてくる「強運」には何度も命を救われた。
そんなことで「楽にさせられるか」と言う叱責をたびたび聞いた。
絶望に沈んだ人間に、「運命の人」との出会いが、夢に向かって鞭打ってくれた。

この世のすべてを記録する、過去現在未来も記録する「ゼロ・ポイント・フィールド」があり、記憶は全てその中に蓄積されている、と言う。
「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」
自分の持っている「予知能力」や「予感」はその世界と綱買っているという。

過去の自分の流れてきた支離滅裂な時間が、納得できるようだ。
倅から、大変な本を預かってしまった。

写真は新潟小針の小嶋屋蕎麦の男子トイレの張り紙。
ジョーダンかマジなのかわからない。