越路吹雪

2008年04月21日 風の戯言


 窓を開ければ星達が瞬き、車が通り過ぎた後はまた元の静寂が訪れ、窓下の田圃から弱弱しい蛙の音が聞こえてくる。 ロウソクを灯しながら風呂に入っていると天と地が繋がって、これ以上望むべくもない最上の時間が過ぎてゆく。
 多分、BSで越地吹雪のビッグショーに浸っていたせいだろう。コメントは一切無く、ただ彼女のステージだけが流れる。「サントワマミー」「ろくでなし」「人生は過ぎゆく」・・・音楽とは縁の薄い自分に、改めて音楽の豊かさと人生の深さを示唆してくれる。 「こうちゃん」、と彼女のファンはそう呼ぶ。自分の恋人に対するように親しみと深い愛情を込めて。2人の印象的なファンを思い出す。一人は横浜時代お世話になった貿易会社の周社長、彼は学生だった俺達にいつも「こうちゃん」の話をしていた。もう一人は越後タイムスの吉田元主幹。リサイタルの知らせが届くと「仕事が手につかない」で東京に駆けつけていた。
 俺の人生は何と浅はかで情熱に乏しかったのか・・・今更・・・と思いながらやはりスターと呼ばれる、万人を魅了する人の凄さに感動し、今も頭の中で「ろくでなし」がリフレーンしている。

 余計なことだが、今日の取締役会の後の雑談で中村天風を話した。悩みの深さでしか理解できないのだろうが、生きることの深さと、生きる時間の長さのバランスを考えたりしている。
 今日はいい時間が多かった。