幻の古浄瑠璃、復活再演 

2009年03月07日 風の戯言


 江戸前期に上演され、以来鳥越文蔵先生に発見されるまで台本が大英博物館に眠ったままで時は流れ、今回300年ぶりに復活再演される「越後国柏崎・弘知法印御伝記」なる古浄瑠璃を見に行ってきた。後援会の一人でもあるのだが・・・。
 浄瑠璃がなんであるか、勿論俺には判らない。文楽の源流とか佐渡文弥人形に近いもの、と言われても正直「知らない」。
 無理を言って入場券を手配して貰い、義理と興味半分と折角の休日を身体を休めないでいいのかと少し鬱々として出かけたのも正直な話。しかし、上演が始まると不思議な世界に引き込まれた。そんなに違和感がないのだ。子供の頃、近くの家に旅芸人が来て、瞽女や浪花節語りだったのだろうが、田舎に不思議な夜を持ってきてくれた、遠い記憶が蘇ってきたのかも知れない。
 狭い会場ではあるけれど、多くの希望者を断ったと言う話だけれど、入りきれないほどの人たちが、中に外国の人も、子供達もいたけれど、みんな息を潜めて舞台に魅せられていた。
 柏崎は不思議な町だ。歌舞伎や義太夫の源流と言う古浄瑠璃に興味を持ちそれを企画する人たちと観劇に来る人たちとの濃密なネットワークが、古き良き柏崎のDNAが今も生き続けている。