風と、海と、雲と

2011年09月25日 風の戯言


 優しそうな雲が大空に漂い、秋が訪れている。
 
 午前中は小千谷の船岡公園と山本山で遊び、午後は海が見たくなって「聖ケ鼻」で風と海と雲に吸い込まれてきた。崖っぷちにチェアを持ち出し、太陽と風を満喫。笠島の褶曲の向こうに原発が霞んで見える。誰も来ない、自分だけの世界、穴場。こんな風景、他にはないのになぁ。

 最近、見様に何かが懐かしく感じれたり、いきなり心を鷲掴みにされることが多くなった。感受性が豊かになった、とはとても思えないのだが…自分の中で、自分では気づかない「何か」が変わり始めているのだろう。

 小千谷の山本山高原も久し振りだ。周囲360度空が広がり、展望台の上はバードウォッチャ達が話しこみ、指さす方を盛んに望遠鏡で覗きこんでいた。こんな豊かな趣味を持った人たちが居たんだなぁ、と妙に羨ましく思う。いつか、こんな時間を持ちたい。
 船岡山は西脇家の縁の深い公園で、西脇順三郎の碑もある。血迷っていた大学の頃、詩に誘われ、教授に相談したら図書館の人を紹介され、訪ねたら西脇順三郎とランボーを勉強するように強く言われた。ランボーは高校の頃、同宿の彫刻家からも話を聞いていたけれど、あの狂気の様な世界は全く俺を拒絶していた。西脇もそうだ。ただ、「木枯らしの夜」だったか、記憶は定かでないが言葉の中に寒々とした風景が広がってきたのを覚えている。人間の存在の描写なのだろう。

 太陽と風と、海と雲を眺めながら去りゆく時間の寂しさと充実感を味わってきた。こんな日もあるのだなぁと思う。