鯖石川の堤防から見える石川峠の桜が俺を呼んでいる。
この峠道は田中角栄が郵政大臣の頃、地元の人達の熱意で開かれた道だ。小国八王子と中鯖石を結ぶ峠には開道の碑があり、当時の熱い想いが伝わってくる。八石山には蒋介石の財宝伝説もある。敗戦後中国から日本人の帰国を指揮した「覆面の司令官」の生まれ故郷との関連という。財宝探しに飛び回っていた「大阪人」は何組か居た。彼らは熱っぽく児玉誉士夫の話をしていた。
石川の部落外れに車を置き、峠の桜を目指して雪の残る坂道を歩いていると、道の両脇に雪割草やカタクリが咲き乱れていた。
登りの途中で息が乱れてダウン。余計なことか!
遅い春が歓声を上げている。