嵐の前

2015年10月13日 風の戯言


 人間は誰でも、暗い地下室に自分だけの部屋を持っている。

 その部屋の闇は誰にも見せてはならない。

 人に理解して貰おうと、扉を開けてはならない。

 一瞬の風が吹いて、扉を開けても、絶望が待っているだけなんだ。

 太宰はそれを「ウリ」にした。
 見せてはならないものを「ウリ」にし、自分を理解して貰おうと足掻いて、最後には命を絶った。

 彼は宇宙を知らなかったのだろう。

 嵐の前の夕陽と、空行く雲が美しい。
 一瞬の風は、美しい。

 そして、それは愛。

 俺の知らない世界があるのかも知らない。