山本七平「日本人と原子力」

2023年01月05日 風の戯言

「どうして今!」叫びたくなる本に出合った。
山本七平「日本人と原子力」 昭和51年初版本 こんな本が手元にあったなんて・・・
読んだ形跡はあるけれど、何も覚えていない–例のパターンの古い本

事の顛末はこうだ。
古い本棚から山本七平の「日本人と原子力」が出てきて、読み始めたら目から鱗です。
半世紀も前、今の状況を歴史的な視点で見ていることに驚きです。
「「原子力への恐怖」は日本を支配し、その支配が別の不幸をもたらしたからである。そして後世に及ぼした「不幸の度合い」は後者の方がはるかに大きかったのだが、その時代の日本人はそう考えなかった。同時代とは常にそういったものなのだが、歴史的判断に欠け、過去の体験を忘却した上で、それを現時点に適合するように情動的に再構成して把握する日本的性格はこれを甚だしくした・・・・」
はじめに、に書かれた一節です。明治の初めにランプと電信線の、その時代の笑えない事例を引いています。

「原子力は絶対に安全なのか?」
「絶対安全とは、言えない」
「絶対安全でないものを作るな!」

「電気は絶対に安全か?」
「絶対安全とは言えない」でもなぜ使うのか?

未知な物への不安から、人は拒絶反応を優先させる。
正しく理解し、正しく使えば・・・

自分たちの生活を豊かにしてくれる。