もいしゃれ
もいしゃれ。
焚火の燃えカスのこと。要は「もう用の無いもの、役に立たないもの」
「カラスがなぁ な(お前)ことなぁ もいしゃれだと言うたーぞ ♪
子供の頃の悪ガキ共が、末っ子の俺に対する最大の侮辱のハヤシ言葉だった。
泣いて帰れば兄たちに怒られ、仕返ししなければ「もいしゃれ」になってしまう。
「てめえら見ていろ!」俺は兄の鉄砲に手を懸けた。「おい、それだけは止めろ!」
でも兄は、俺が中学2年生の時、晩酌を教え、本物の猟銃を買ってくれた。
昨日、久し振りに調子出して酒飲んでしまった。
たったお銚子2本で、今日はこの体たらく。
まったく「もいしゃれ」のような一日になってしまった。
新聞読むでもなく、テレビ見るでなく、節子の墓の前でボーとしている。
邪険にされてもいい、早くそっちに行きたいよ。
明日になれば、また天下国家を口汚く罵る俺に戻れるのだろうか?