
「日はまた昇る」はヘミングウェイの処女作とされ、俺の卒論の主題だった。
6カ月、安アパートに引籠りヘミングウェイと格闘していた。
原稿用紙500枚が仕上がり、読み直してみて余りにも情けなくて死を考えた。
卒論提出期限の朝、50枚に纏まった時に、満足と石塚修はこの程度の人間なのかと、空っぽになってしまった。
評論文学。
生意気にも、卒論にそんな気合を込めた。
そんな言葉があるのか知らないが、批評にも文学性が必要だ、との個人的見解から。
俺は、あれから60年経っても、あこから一歩も前に出れないでいる。
「燃えしゃれ」 子供の頃囃し立てられた、燃えカスのまま83歳になってしまった。