石佛達

2025年09月29日 風の戯言

人は生まれ、やがて死ぬる。

生まれてすぐに、母親にゴミ袋に入れられて捨てられる児もいる。
若い夢を抱いて、未来だけを見ていた青年が事故に巻き込まれて命を失う人もいる。

「死んで来い!」とバンザイの声に戦地に送り込まれ餓死してしまった兵隊もいる。

お寺の墓地に、別れきれない人たちを、石佛にして涙を堪えている人たちがいる。

俺の大切な友人の一人は、3回の脳溢血を乗り越え3年意識が戻らなかった。
それでも子供たちは、遠くから物言わぬ父親に会いに通い続けた。
「ほら、石塚さんが来たよ」と呼び掛けると、閉じた目の瞼が微かに動いたと喜んでくれていた。

石の仏は石でしかないのかも知れない。
でも違うんだよ。

今連絡が入って、姉が亡くなった。93歳、
向うの方が賑やかになって来た。