行兼の裏の山
行兼の裏の山の杉林の雪。石塚組のスタンドから。
下に「ゲンデイモチ」(屋号)があって、坂になった昔の松之山街道を上ると「佐藤医院」があった。
裏の小さな沢に、昔「不動山」があって、山の上の「諏訪神社」に合祀されたと聞いている。
懐かし過ぎる、遠い遠い昔の話。
石塚の家は神社の山の下にあり、広い屋敷と大きな池と三つの蔵と、畑があった。
館林城落城の折敵将滝川一益の手に追われ、佐野からここまで追われて、もう「さきに往きかねた」のが「行兼」。
この地に根を生やして400年18代になる。ホラなのか実話なのか、伝承はそうなっている。
雪の夜に愛犬「チ」に子犬が産まれてすぐ死んでしまった。
死んだ子犬を捨てようと「チ」に近づいたら唸って子供を渡さなかった。
漸くなだめて、その子を裏の川に捨ててきた。
翌朝、なんと「チ」は捨てたはずの子犬を、死んでいる子犬を抱いていた。
何が起きたのか、吹雪の中を俺の足跡をたどって、死んだ子犬を連れ戻して来ていたのだ。「チ」は目に涙イッパイためていた。
小学生だった俺は学校にも行かず、犬小屋で抱き合って泣いていた。という。
雪の夜に沈んでいると節子が部屋に入って来る。
「お父さん、もう2月になるね!」
「ほんとだ、来週はもう節分だよ」
「春になったら、また川西でゴルフしようよ」
「小さなごゴルフ場で、よく遊んだね」
「知ってる人が誰もいないから、下手でも楽しめたの、ウフフッ!」
そんなに遠くは無いけど、通り過ぎてしまった・・・遠い昔の話。
