さらばモスクワ愚連隊

2015年08月30日 風の戯言


 高柳・萩の島の田圃に粋な案山子があった。

 些か唐突に現れた風景に思わず車を止め、こんな悪戯をする奴らと酒が飲みたくなった。
 高柳には言い仲間がいっぱいいた。みんないい酒飲みだった。

 嬉しくなって、久し振りにじょんのびの湯に浸かってきた。

 湯の中で懐かしい顔に出会った。
 癌で20キロも痩せたという。

 もう40年にもなるだろうか ?
 彼が小さな店を、当時1億数千万も掛けて新築したのだ。
 彼は言葉少なに「俺には夢がある」と語っていた。
 
 何かをやろうとすれば、当初思ってもみなかった障害や条件が重なって押し寄せてくる。
 文字通り、俺にとっても命をかけた戦いだった。

 生涯を掛けて戦いきった男の、爽やかな姿がそこにあった。

 
 老兵は死なず、ただ消え去るのみ。

 「人生は酒だ!」
 と熱く語り合った時間が静かに流れてゆく。