さらばモスクワ愚連隊
些か唐突に現れた風景に思わず車を止め、こんな悪戯をする奴らと酒が飲みたくなった。
高柳には言い仲間がいっぱいいた。みんないい酒飲みだった。
嬉しくなって、久し振りにじょんのびの湯に浸かってきた。
湯の中で懐かしい顔に出会った。
癌で20キロも痩せたという。
もう40年にもなるだろうか ?
彼が小さな店を、当時1億数千万も掛けて新築したのだ。
彼は言葉少なに「俺には夢がある」と語っていた。
何かをやろうとすれば、当初思ってもみなかった障害や条件が重なって押し寄せてくる。
文字通り、俺にとっても命をかけた戦いだった。
生涯を掛けて戦いきった男の、爽やかな姿がそこにあった。
老兵は死なず、ただ消え去るのみ。
「人生は酒だ!」
と熱く語り合った時間が静かに流れてゆく。