梅雨の夜空

2016年07月14日 風の戯言


 
 さっきまで稲妻が光っていたけれど、止んだらしい。
 静かなジャズを聴きながら、暗い梅雨の夜空を眺めている。
 時折、しぶきを上げながら通り過ぎる車の音がする。
 その一瞬の後に、また静寂が戻ってくる。
 今夜は、このCDが心の奥底に染みこんでくる。

 人の命には限りがある、そんなこと判りすぎているのだが・・・。

 天皇の生前退位のニュースが心を揺さぶる。
 世界中に、こんなに真摯に平和を祈る君主がいただろうか?
 災害で打ちひしがれた人々に、膝を折り、同じ哀しみを感じようと必死になって慰問した君主が世界のどこにいただろうか。

 ベリリュー島に慰霊の花束を捧げられたその場所に、俺は1本の冷たいペットボトルを手向ける事が出来た。天皇の哀しみの一端を共に出来たことを、俺は限りない誇りに思う。

 哀しみはそれだけではないのだが・・・。

 静かな夜に、深い世界に沈んでいるのもいい。