全く雪の降る気配がない。
時にはこんな冬もいいもんだが、なにやら薄気味悪くなくはない。雪国に生まれ子供の頃から雪に埋もれて暮していたのに、余りに凄い降雪に戦慄を覚えたこともあった。3年続きの豪雪で、庭の小屋が潰れたのも知らないで居たこともあった。自然界の乱数はまだまだ未知数だ。
窓の雪板を外し、庭に明かりを灯してみる。
季節感がまるっきり狂って、雪の実感が思い出せない。
CDのピアノ曲が益々気分を落ち込ませてしまう。
俺は一体何をしようとしているんだろう?
人間は何をしにこの世に出てきたのか・・・?
答えが見つからないままに、もう65歳に近くなった。