庭の椅子で、暮れて行く八石山を眺めている。 ズーとこんな時間が欲しくって、そう思ってただけで、走り続けてきた。 だから今、時間が戸惑いながら過ぎて行く。
夕方になるとお墓まで節子を迎えに行き、一緒にお茶し、テレビを見る。 二人の時は、何にもできなかったくせに。 食事が終われば、すぐ部屋に戻ってパソコンに向かっていた。
がんが再発した時に、なぜもっと寄り添う事が出来なかったのか。