俺は現役現場マン!
一見、平和そうな世界で「分断」が深まっているようだ。
貧困に身を沈めているものにとって、富裕層は憎しみの対象になる。「食うこと」だけが「喫緊の課題」であり、夢や自由は別世界の話でしかない。
若い頃、当然のように自分の生き方に藻掻き、少し明かりが見え来た頃、俺は自分で辿り着いた哲学に、些かの自信を持ち、「流石、石塚」と自惚れていた。
通っていた大学の学長から「助手になれ」との誘いもあり、有頂天になっていたのだろう。
中学生の頃、教頭が「この男は鯖石郷で20年に一人」と担当の先生に言っていたという話も思い出して得意になっていた。
だが、金が無くなって1週間まともな食事が出来なかった。
アパートも米もあり、貧困と言うには申し訳ないのだが、だけど、たかがそんな状況で、俺は食うことだけを考えている自分に愕然とした。
人間、悟っていたようなこと言っていても大したことないな?
自惚れていた自分が情けなくなり、笑ってしまった。
そんな自分を救ってくれたのは「兄貴」であった。
「帰ってこないか?」
情けなくて涙が出たが、俺は家に帰った。
「5年で一人前になれなかったら、自決する」
背後を絶つと、人は生きられる。
以来20年、俺は建設現場で天職を見つけた。
だけど、今の仕事も更に俺の天職。
この歳になっても面白くてしょうが無い。
命の尽きるまでやってみるか !