秋は楽し
俺は本来無宗教であり、人生に意味などないと信じている。死んだら「無」になるだけ。だから般若心経に通じるニヒリズムが好きなんだが、やはり「送る人」にとって葬式は大切なんかも知れない。
訳の判らない「有り難いお経」も、意味が判らないからいいのかも知れない、と思った。
後退したのか、前進したのか判らない。
何時何が起きても不思議はない人生。
今日も対向車線に飛び込んできた軽自動車をスレスレで躱した瞬間に目前に電柱が迫り、これも神業か誰かの助けか、ギリギリ難を逃れた。
歳を取っても、俺の運転技術は神業に近い。
バックミラーにその車が止まっていたのが見えた。
夕陽に照らされた山辺の道をトロトロと走り、行く秋を楽しんできた。