9.11
あの日から6年経つのだそうだ。
巨大なビルが崩れ落ちる映像を見ながら、倅と「アメリカが変わる」と話し合っていたのを思い出す。「自由のアメリカ」の終わりの始まり、それを直感させるに十分すぎる「事件」だった。しかし、その後の展開は「仕組まれた」と思わせるにも稚拙過ぎた。多分、歴史的にアメリカは侵略にも植民地経営にも慣れていないはずだ。塩野七生の「ローマ帝国」の話を持ち出すまでも無く世界帝国の経営にかけてローマ帝国とモンゴル帝国に適う国は無いのかもしれない。
特に20世紀に入って動き出した「遅れてきた帝国」は、日本とアメリカは「ヘタ」な感じがする。
どうでもいいことか・・・。
「蓮池薫 訳」の文字に惹かれて「私たちの幸せな時間」を買ってきた。最初の翻訳「孤将」が強烈で、特異な環境にありながら彼の才能の輝きに魅せられた。翻訳とは、多分一種の「創作」なのだろう。「孤将」李舜臣の不安と孤独、いやそんな通常の言葉では言い表せないような生命と使命への絶望的な懐疑、そしてその先にある澄み切った世界。金薫と蓮池薫の合作は静かな深い感動をもたらしてくれた。
男には、時に命に代えてもやり遂げなくてはならないものがある。誰の賞賛も理解も無くてもだ・・・。狂っているのかも知れない。でも、それでいいのだと思うことにした。