森浩一の古代学

2008年01月21日 風の戯言

 85歳の姉に薦められて森浩一の本とDVDを山ほど買った。
 いろいろ雑用があって集中できないので、拾い読みを楽しんでいる。躁のバカ騒ぎの後の欝状態なので、多少自閉症気味の身には浮世離れした本に救われる。
 「海から知る考古学入門」はこの日本列島に生きた古代人が、多分縄文人がヒスイを求め、ゴホウラやイモガイの腕輪を求めて糸魚川や沖縄までの海を行き来し、北海道の遺跡にまでその痕跡が認められるという。
 需要と供給の情報と運搬手段を手にした人たちが、懸命に生きようと努力した跡を、ただロマンと冒険という言葉に置き換えただけではこちらの想像力が情けなくなるほどの血のたぎりを感じる。
 幾つの命を落しても、自分の血の騒ぎを鎮めてくれるものは未知の世界への挑戦と、夢が達成された時の全身から血の吹き出しそうな感動しかないのだろう。一度それを味わったものに、平穏な生活は苦痛以外の何ものでもないのかも知れない。
 それにしても、食うことがやっとだったと思っていた古代人がヒスイや貝の装飾品を遥かな海原を越えて手に入れていた情景が眼に見えるようだ。間違いなく、魅惑的な女性の関心を買う為に、男達は命懸けだったということか? 口惜しいけれど、判り過ぎる・・・古代人ものぼせていたんだな。