小さなスズメの物語
生来の偏屈が高齢化と共に制御不能に陥ってしまっている。
誰も遊んでくれる仲間もなく、今はもう「引きこもり」状態。本も新聞もテレビも雑誌にも面会謝絶されている。
出来るだけ人に会わない道を散歩、いや徘徊し風に向かってブツブツ呪文を唱えていると、こりゃ「偏屈」でなくいよいよ本物が来たかなと思ったりする。
退屈する時間が持てない自分にとって手近な芝刈りは腰に来る。性格や知力だけでなく、「元土方様」の体力も制御不能になっている。
やんなっちゃうね。
そこで遊び相手に指名したのは「スズメさん達」。
しかし、これが本当の「片思い」。少しづつ餌付けをし、振り向いてくれるのをじれったいくらい待ち続けている。
部屋の中から、恋人を遠くから見詰めているように、身動きせず、目を細め、ズドサン(お地蔵さん。鯖石弁?) のように身動きしないで見ているけれど、目が合った途端で逃げ去る。
片貝の野鳥の会の師匠にぼやいたら「石塚さんの顔見て逃げるのはスズメだけじゃねぇこて」ときた。なんてこった !
第二次世界大戦中のロンドンで足と翼に障害をもった1羽のスズメと老婦人の13年にわたる物語がある。「ある小さなスズメの記録」人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクレランスの生涯と副題にある。
野鳥は障害があり成鳥に慣れないと危惧した子供を巣から捨てる。自立して生きるための哀しさなんだろう。
足下に落ちていた「その子」と心を通わせた物語なんだけど・・・あったかい !
なんでこんな本を買って置いたのか「記憶」にもございませんが・・・。
家のスズメたちは最初「デブリ」と名付けたノロイ1羽だけだったが親戚にも声を掛けたのか最近は10羽くらいになった。
観察していると口移しで餌を貰っている。餌を与えるのは特定の親だけらしく、他のスズメの近くに寄ると突っつきかえされる。
なんと可愛い奴らなんだろう !
鳥や虫の脳には生きる為の知恵や愛が詰まっている。
非力の者は外敵から身を守るために兎に角「逃げる」。なんという賢さ !
落ちたクルミを巡ってカラスと喧嘩になったことがあるが、あんな奴も必死になってかかってこられるとチョット怖い。
「テメェ、俺様のことを知らんのか」と啖呵を切ったら逃げていった。「バカな人間を相手にはしてられねぇ」と捨て台詞を吐いたように聞こえた。
腹の黒いカラスは嫌いだ。