梅雨空の谷間で・・・
街で、リタイヤ組らしい人たちの歩く姿が多くなった。「馬鹿じねぇか!・・・」と彼らを蔑んでいたのだが・・・最近は時間を見つけては鯖石川の堤防を歩いている。
「俺も焼きが回ったのかな」と思いながらも、誰にも会わずに小一時間の散歩は結構楽しいのだ。
車で走る時は「路傍の花」なのだろうが、堤防に咲く花を何と言うのだろう。花の咲く時期が植物にとって一番勢いのある季節なのだろうが、「のっている」季節の、今の時期の緑は正に「青春」なのだろう。
鯖石川の堤防を歩きながら、この小さな谷間の村で生きる為に戦ってきた先人たちの事を考えている。理不尽だろうが、無意味だろうが、人は目の前の戦いに負けるわけには行かない、のだろう。
自宅前の公園に「鯖石川治水の碑」がある。梅雨の時期、特に毎年7月14日に開催される田島集落の普広寺「毘沙門」祭礼の前夜は必ず大水が出る、といわれるほどだった。
暴れ川、鯖石川を鎮めたのは、全財産を捨てでもそれに取り組んだ鯖石の素封家達だった。
静かに、今日も鯖石川は流れている。