5月の風、黄金の瞬間

2011年05月08日 風の戯言


 5月の風が、瞬く間に山の緑を濃くしていく。

 認知症が進み、オマケに精神が著しく安定を欠いた症状を併発し、痴呆症が酷くなっている。
 こんな時には、庭でボケているのが最適な治療法なんだろう。今年もこの時に合わせた様に桜が満開になり、ドウダンやグミの花が咲き、モミジの葉が輝を増していく。
 庭の隅に有った物置を畑に移し、部屋からの風景が一変した。樹に鋏を入れ、竹を切り、万年青を移し、庭を掃き、5月の風に吹かれていると、正気に戻った気がして嬉しい。

 調子づいて「ぶどう村」を覗き刈羽三山は雄大で、特に真ん中に座る黒姫山は大好きで、見ているだけで失神しそうになる。
 夜になって窓を開けると、田圃のカエル達の大合唱が迫り、星達が孤独と悩みをボソボソ話込み始める。遠い昔の話だ。オールディーズのCDを聴きながら純粋な情熱にホロッとしてしまう。輝いていた時間があった。確かに存在していた。

 この休みの間で、自分の中で何かが変わり始めている。

 まともになればいいのだけれど・・・。