知足
「知足は第一の富なり」
お釈迦様の言葉に一番近いと言われる経典「マンダパタ(法句経)」にこの言葉がある、と言う。
確かに「足(たる)を知」らなければ常に飢餓感に苛まれ、心が満ちることはない。
現代資本主義経済はその「飢餓感」に立脚した社会でもある。実際「生活を豊かにする」新商品・サービスの誘惑に抵抗するには努力が要る。「お金が無い!」と叫びながら、目はテレビCMに釘付けになり、知らず欲しい衝動に突き動かされている。
手の届かない価格の時には「諦める」ことも出来た。しかし今はどうだ、「えっ!」と思うような値段で目の前にある。
一点豪華主義から欲望拡散時代になり、今も「足を知る」こととはほど遠い所で喘いでいる。飢餓地獄とはこのことなのか。
足を知るは第一の富なり、と言う。
莫煩悩、欲を捨てろと言う。
確かにそうなのかも知れない。
だが「欲を捨てた」人生とはどんなものなのだろう。
よく分からない。