故丸山智央君一周忌
彼はは創立メンバーの一人、と言うより共同設立者であった。柏崎情報開発センターに入居する為に事前下見に行ったら、当初想定していた部屋は窓から屋根しか見えず、二人で顔を見合わせ考え込んでしまった。
がっかりしている二人を係りの人は極楽寺側の事務所に案内してくれた。部屋に入ると、窓一面に桜の花が見えた。「丸さん、こっちだよな」「うん、社長、こっちにしましょう」それで決まりだったが家賃は6万円増えた。
「いいさ、頑張ろうよ」そして二人の、いや5人の創風システムがスタートした。
仕事は厳しかったが、二人でよく飲んだ。グラス片手に歌う「酒と涙と男と女」は絶品で河島英吾本人の歌より数段上手いと俺は思っていた。そして、酒をあんなに美味しそうに、あんなに楽しく飲む男を他に知らない。
長い間に仕事に対する考え方に違いも生じ、やがて彼は独立してゆく。いろいろ悩みも多かったに違いない。けれど何時も元気に話をしていた。
突然の死から1年。全てが早過ぎる時間の中で、彼の死も次第に遠ざかってゆく。
今年もまた「閻魔市」の季節になってしまった。