佐渡ゆり

2008年06月21日 風の戯言


 阿川弘之の「大人の見識」(新潮新書)のカバーに
  
   軽躁なる日本人へ
    急ぎの用はゆっくりと
    理詰めで人を責めるな
    静に過すことを習え・・・とあった。

 「急ぎの用はゆっくりと」というのは考えさせられる。軽躁なる身はいつも何かにおわれているようで、本は買ってきても読まない、気に入った本は取敢えず開く、物語や小説は筋書きの先を知りたくておちおち読んでいられない。従って感動してもメモも付箋もつけない。暫らくしてフラッシュバックのように感動の文章が吹き上がってくるのだが、記憶が定かでない為に確認しようがない・・・。

 静謐な時を愛せ・・・その意味では田舎暮らしの休日はありがたい。殆ど訪ねてくる人もなく、痴呆のように暮している。
 2面のガラス戸を開けると新しい風道を風が駆け抜けていく。部屋の端で籐椅子に掛け無造作に詰れた本を読んでみる。面白そうな本に集中し書き込みしたり付箋をつけたりして読み返してみる。66歳を過ぎて、ようやくゆっくりと本を読んで見ようという気になった。

 庭の片隅で今年も佐渡ゆりが咲きはじめた。
 薄いピンクのバラが終わり、赤いバラが咲きはじめた。そんな季節の移ろいの中で佐渡ゆりが定着し株が広がってゆく。なんとも、嬉しいんだなぁ。