坂の上の雲

2009年12月06日 風の戯言


 社員の永井君から教えて貰って今日3回目のNHK「坂之上の雲」にのめり込んでしまった。司馬遼太郎は最も好きな作家で、特に「街道を行く」は全巻書棚に収まっている。「坂之上の雲」は正岡子規や夏目漱石の物語から日露戦争物語と2つの物語を一つにしたような不思議な本だったと記憶している。
 最近、テレビ・新聞の方向が以前と明確に違ってきたような気がする。時代が変り始めているのだろう。沖縄の基地問題も日本の叫び声を感じるようになっている。アメリカに振り回されて独立国家として本当の幸福が可能なのか、まだ明らかな声にならない地の底からの何かが伝わり始めている。

 週末には娘が娘を連れてやってくる。
 そろそろ1歳と4ケ月。雪はないとは言え12月の風の中を、家に帰ろうともしないで自宅前の公園で遊んでいる彼女に、何とも言えない嬉しさが込み上げてくる。

 最近は雲の色や形、紅葉や自然の美しさに以前とは違うものを感じ始めている。何となく懐かしく、嬉しく、花の形や水の色が良く見えるようになった、ような気がしている。
 多分、アセリが薄らぎだしているのだろう。考えてみれば今までの時間より未来の時間が確実に少なくなっている。生命を持ったものにとって、それは決して忌むべきものではなく、それはむしろ生きるものへの祝福ではないかと思い始めている自分がある。
 何時の時代でも、生きることが安楽であるはずはない。しかし、自分達の世代は歴史上稀に見る幸運な時代を生きてきたのだろうと思う。この先に何があるのか、見届けてやろうじゃないか、と今まで思いもしなかった考えが浮かび始めている。齢のせいで死に欲が出てきたのかな?