長岡商工会議所 新年号への原稿

2009年12月13日 風の宿

 卓越した業績を目指して 
   経営品質アセスメントへの挑戦

 今年もまた激動の年になりそうです。一昨年のリーマンショックで「地域経済」は世界の経済環境に直結していることを否応なしに実感させられました。しかし競争社会の限界も見え始め、「経済とは皆が生きる仕組み」、或いは「仏教の根本は共生(ともいき)」という言葉も見直されています。企業は営利活動による継続的成長を法的前提としていますが、同時に自然環境との調和と、社会、顧客、社員に対し責任ある存在としての自覚を求められ、同時にデフレスパイラルの予感の中で企業経営は難しい舵取りを迫られています。

 弊社は「総合情報サービス業」として業務ソフトウェアの設計・製作、情報通信ネッワークの構築、情報関連業務の保守・サポートを主業務とし、顧客は自治体、企業、個人等多方面に渡り、ユーザーは全国に広がっています。顧客の知的情報資産に直接触れ、「信頼と創造」社是とする企業として「社員満足なくして顧客満足はありえない」と考えています。社員の人間性の向上、専門知識と技術の向上、経営の安定が何よりも大切になります。

 創業20年を目の前にし、経営を次世代に託し継続的成長を考えていた時、顧客の部長さんから「経営品質アセスメント」の話を聞き、「これしか、ないっ !」と思い至りました。以来6年、試行錯誤を繰り返し、セルフ・アセッサーも9人育ち、経営の視点を顧客本位、独自能力、社員満足、社会貢献の経営品質4つの理念に照らして全社で見直しています。社員50人の小さな会社ですが朝礼時当番の社員が経営についてスピーチし、社内ホームページに発表しています。たどたどしい歩みですが、昨年は新潟県経営品質賞奨励賞を頂きました。やっとスタートラインに立てた思いがします。

 今年は「柏崎経営品質研究会」で新潟産業大学に「経営品質とは何か」を主題とした寄附講座を開設させて頂ことになりました。「地方の時代」には其処で生きる為の経営学があるはずであり、経営品質アセスメントは地方の中小企業にとって継続的成長のための知恵と勇気を与えてくれる科学的経営実践学だと確信しています。
 日本生産性本部、経営品質協議会の支援を頂きながら、原発立地地域の自力による自立を目指したいと考えています。地方が経済的自立を果たすことは簡単なことではないけれど、経営者が熱意を込めて未来を語り、社員と地域と共にその価値観を認識・共有し、実現に向けて共闘していくならば不可能はない、と信じています。都会で失われつつある本来の人間の生きる喜びと、知的資産経営と呼ばれる現代の経営は地方でこそ可能な筈だと思うからです。