ある小さなスズメの記録
文春12月号に載っていた梨木香歩さんのエッセイ「ある小さなスズメのこと」に心を奪われている。
『ある小さなスズメの記録–人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯』(クレア・キップス著 梨木香歩訳 文芸春秋社)の物語なのだが、障害を持って孵化したスズメの雛が、まだ羽毛も生えていない状態で親スズメに巣からホゲ出され、著者のピアニストに育てられ、家族の一員として誇り高く生きて、「生まれついての不自由な身体でありながら、長い生涯をつうじてくじけることなく闘い続け、ついに立派な休息を勝ち得た」、という。クラレンスとは彼の名前。第2次世界大戦の頃の物語だ。
短いエッセイではあるけれど、読みながら涙が止まらなかった。早速、本の注文をした。
68歳が過ぎて、生きる事の意味の深さをまた一つ見つけたように思う。人は生まれ、次の世代を育て、そして死ぬ。宇宙の広大さを知れば人の命なんて無意味に近いけれど、この年になって生き尽す事の重大さに目覚めたようだ。死に欲が出てきたのかな ?
外は、昨日と一転して寒い雪に覆われている。