怪奇現象の正体 ?
幾度かそんなことが重なると、些か難儀を超える。
探すものが、見つからないのだ。
さっきまで使っていたものが、突然、目の前から消える。
俺はバカではない。
ただ、整理能力が常人以下となる。その危険性は自覚している。
使ったら、元に戻す。
たったそれだけのことだが、それにはある体験がを説明しなくてはならない。
何の用事だったか、何時のことだったか、今は忘れたが刈羽の刀鍛冶のもとを訪ねたことがある。彼は手を休めることなく、道具を次々と変えながら、真っ赤に焼けた鉄を見つめつづけ、俺たちの話を聴き、自分の話をしてくれた。
道具は、キチンと元の位置に戻され、次に必要な道具を次々と変えながら、休むことなく、自分の作業を続けている。
俺は、感動した。素晴らしい ! と。
それ以来、俺は整理に命をかけた。
ただ、それは思いついた時だけ、だったのかも知れない。
最近それが怪奇現象まで昇華され、どこにしまったのか分からなくなっている。
言っておくが、老化現象ではないっ!