ぶどう村

2007年02月11日 風の戯言


 自分の妙な癖の中に「半睡」みたいなのがある。
 眠っているわけでも覚醒しているわけでもない状態で1時間ほど頭の中を遊ばせておく。自分の身体の一部でもあり、普段は自分と言う人間の行為の司令部でもありながら、5月の風のように、呆れるほど勝手に動き回る。よくもまぁ何処から湧いて出るのか、不思議なほどの自由の泉なのだ。

 ふと思いついて、夕方近くなって「ぶどう村」に登ってきた。あの丘に感謝と祈りがなかったのではないかと思い、現地を感じたくなったのだ。不思議なことに風景は一変していた。俺を拒絶し、何とも悲しげだった風景が、まだ何も語らないけれど、親しみを見せ始めたように思えたのだ。
 明日、もう一度祈りに行ってみてこようと思う。
 あの風景の広がりの中にいる大地の神々達と、俺の先祖達と、この土地に生き継いで来た人々と、このぶどう園を切り開き守り続けた人々の想いを感じ、俺は何をなすべきか問うてきたいと思う。