眠れぬままに、真夜中に日本刀の手入れをしていると自分が随分と妖しい人間に思えてくる。
ジャカルタの山田医師が置いていってくれた日本刀は、多分新撰組の斉藤一が愛用したという居合い抜きの刀のように思える。 二尺一寸と短めで、反りが深く、刀を横に寝して、片膝を立てて横に引く、抜き打ちとしては絶品だろう。
ローソクの光だけで刀身を見ていると心が澄んでくる。