老人閑居して不善を為す。亦楽しからずや。

2025年05月31日 風の戯言

子供の頃から「退屈」とか「暇」には縁遠かった。
時間さえあれば…、そんなものに関わらず、遊んでいた。
ザイゴには何でもあった。

神社には神様がいたし、横穴には変な生き物がいたし、石垣にはヘビがいた。
だから、場所と状況により、遊びを考えるのは、おそらく現代の「AI」以上だろう。
すべてに遊びが優先され、土木も建築も、コンピューターもそう、皆遊び道具。

で、それが商売になってしまい、夜も休みも時間を忘れての減り込んでしまった。
周りの人には迷惑だったかも知れないが、もともと好きな人達だから、人に喜ばれた。
越後人は、喜んで貰えるならと、一生懸命やる、それが信頼になる。

で、突然時計の針が早回りして、今年83歳になった。
変な歩き方だが、とにかく歩ける。
最近は耳が悪くなったのと、頭が悪くなった、それに口が悪くなった。
医者は手遅れだという。

人が遊んでくれなければ、一人遊びに熱が入る。

ラーラのテーマ(ドクトル・ジバゴ)

2025年05月30日 風の戯言

「ラーラのテーマ」が頭の中で駆け出してしまい、何年かぶりに「ドクトル・ジバゴ」を引っ張り出した。

オマー・シャリフ、ジュリー・クリステー、そしてチャップリンの娘が演じるトーニャ。
配役よりもウラル山脈の向こうに広がる、多分シベリアの風景に圧倒される。
そしてロシア革命をバックとした、歴史上の運命に翻弄される人達。

何時の時代でも、人間は愚かで可愛いく、どうしょうもない生き物なのかも知れない。

多分バラライカ(マンドリンみたいだけど)が奏でる「ラーラのテーマ」が心臓を掻き毟る。

1965年の作品だという。
あんな映画を創った人達の身震いするような情熱と感動が羨ましい。

夕陽-ガード下の靴磨き

2025年05月29日 風の戯言

赤い夕陽がガードを染めて
ビルのむ向うに沈んだら
街にゃネオンの花が咲く
おいら貧しい靴磨き
アーアー夜になっても帰れない♫

下加納の鯖石川に架かる橋のたもとで、久し振りの夕陽を見ていたら、70年も遠い昔の宮城まり子の歌が勝手に頭の中で流れ始めた。「ガード下の靴磨き」

夕陽がどっちに沈んだのか思い出せないが、今からは想像もしようもない神田神保町界隈の都電や自転車の走る音の風景が思い浮かぶ。

こんな絵のような世界に浸っているようじゃ、俺もあんまり先は長くないな。

今日は 草ラーメン大盛り

2025年05月28日 風の戯言

「トットのエサ」ばかり食っていたら、歩き方までトットみたいになった。

で、人間に戻りたくて「草ラーメン大盛り」を食ってきた。
医者は野菜食え、また別の医者は「やっぱり肉だぜ」と言い、脳外科は兎に角「魚」だという。
人間は、エネルギーの主な補給「食べ物」を美味しく食べために、涙ぐましい工夫をしてきた。

バカな話だが、学生の頃、送って貰った授業料を悪い仲間と一晩で飲んでしまったことがあった。
で、翌日から「オカズ」が買えない。
ご飯に味噌をつけたり、塩をかけたり、醬油を垂らしたりしていたが、3日目に発狂した。

文学も、哲学も、自分ではある境地を切り開いたつもりになっていたけど、
たかが一週間、ご飯が食べられなかっただけで、俺は「もいしゃれ」に戻ってしまった。
ニヒリズムがな何じゃい、サルトルが何じゃい、般若心経が何じゃい!

今、大好きな「草ラーメン大盛り」を食えることが何よりも嬉しい。
晴れた休みの日には足を延ばし「地獄ラーメン大盛り」で元気を出す。
盛来軒は、俺の特別仕様で出して貰える「辛 味噌ラーメン」がいい。

好きな食べ物を食べれる・・・こんな幸せはない。
ガザの子供たちの、空の鍋を突き出して「食糧」を求めるニュースが痛ましい。

窓下に、子育て中のスズメ達が、子供を連れて寄ってくる。
貰い物の「古米」を喜んで啄んでいる。政治的意図はないからね・・・。
子スズメが、幼い羽を震わせて口移しでエサを貰っている・・・いいね!

置かれた場所で咲きなさい、ったって・・・

2025年05月27日 風の戯言

40億年前に、地球に生まれたたった一つの細胞から、分裂を繰り返し現在に至っていると言う。

二つの目、四本の手足、耳や鼻口、オチンまで一緒の所にある。
昆虫から動物、人間も含め「親戚」のような親しさを感じる。

「人間とは何か?」
考えたって腹の足しにはならないが、変な世界だ。

昭和36年4月
俺は家出同然で神田神保町1-64理論社に転がり込んだ。共産党の巣窟。
出版社に住み込みのアルバイト、終戦からまだ16年の東京、だから何か「3丁目の夕陽」が懐かしい。

高校の頃から吸っていたので、近くの煙草屋に買いに行った。
「いこい」 俺は上品な東京言葉で一言、そう言った。
「おめえ、新潟だろう?」
 なんで分かった? このクソババア! 

神田猿楽町から駿河台に上る石段の隙間に小さな花が咲いていたのを忘れられないでいる。
今日もお菓子を買いに入った店の入口に小さな花が咲いていた。
多分、この店の主は渡辺和子の「置かれた場所で咲きなさい」の言葉を大切にしている人なのだろう。

もう直ぐ6月になる。
奇妙な星で、不思議な人間達が、不可解な時間の中を、ポツンと流れている。変なの!