野田の佐水から山道を走ると別俣に出る。
ここは不思議な盆地で、広い田圃を囲み久米、細越、水上の集落がある。
別俣の中核は久米だが、野田との境に城があった。細越城である。
鯖石の荘に石塚の祖先が滝川一益の追手から逃げ延びたのは細越城主山崎某のお陰と伝えられている。
伝承という確証のない歴史は面白い。
先祖たちは、吹雪の夜に囲炉裏の火を突っつきながら、そんな話を繰り返し貧しさに耐えたのだろう。
久米の物部神社は1300年、我が家は500年この空の下、この山の中で生きてきている。
自分で食べて行くのに精一杯なのに、石佛を刻んでいった仏とか神は何だったのだろうと思う。