アロエ軟膏信仰

2008年03月06日 風の戯言


 なんという優しい雪の降り方なんだろう、と思う。さわさわと音もなく、そしてまた積もるでもなく、一面が真っ白くなって、あっという間にまた春のような地面が現れたりする。
 冬の間は、殆ど青空を見ることも無く夜通し山が轟々と啼き続ける、そんなことも全くと言っていいほど無くなった。 現代の男達と同じように、自然も優しくなりすぎたような気もする。荒々しい冬の季節は何処に行ったのだろう。暮してゆくにこんないいことは無いのだけれど・・・。

 昨日、急に鼻水が止まらなくなり「そうなのよ、花粉症はある日急に来るの」との女性社員の一言でギクッと来た。花粉症? 知らねぇぞ、そんなもん! 知ってても知らなくても頭は重いわ鼻水は止まらないわで、FM放送の取材中ももう大変だった。いやいや人生何かあるか判らんもんだ、て。
 で、家に帰ってアロエ軟膏様を鼻の穴にねじ込んだら、あら不思議、一発で洟水は止まってしまった。耳が痛い、ケツが痛い、インキンかな?なんて時はアロエ一発で解決している。用法に「適量を患部に塗布してください」って、まあかなりいい加減なことが書いてある。何時からあるのか、使用期限も書いてないので安心して使ってるけど、正に神薬だね。何にでも効くって、やっぱりいいもんだ。

原発の耐震安全・信頼性国際シンポ

2008年03月02日 風の戯言


1週間が翔ぶように過ぎて行く。従って土日は仮死状態。

 26,27日の「原子力きっ伝書の耐震安全性・信頼性に関する国際シンポジュウム」は実り多かった。26日は震災復興会議で午後からは欠席、27日は風邪の悪化でダウン。だから正味26午前と27午後鹿参加できなかったが原子力発電に関る多くの国と人たちが集まり、かなり純粋な議論が展開されたことを喜びたい。基本的に技術者達が一般の人たちに向かって何かを伝えようとする熱意とその難しさ、それらをひっくるめた原発にまつわる諸々の問題を、知の共有を図ろうとしていた姿勢は大変なものだったと思う。
 27日、総括セッションで会場からの質問と言う形ではあったけれど吉田眞理さんのスピーチは感動モノだった。普通御礼を含んだ質問とは言え会場からのスピーチが満堂の拍手を浴び議長が立ち上がって深々とお礼の挨拶をするなんて光景を見たことが無い。それほど感動的だった。
 たった一人の女性のスピーチが世界から集まった原子力技術者に勇気と誇りを与え、柏崎の文化の高さをしめた効果は図りきれないほど大きなものがあると確信する。

ここから眞理さんのスピーチ原稿です。

原子力発電所の耐震安全性・信頼性に関する 国際シンポジューム
                                                H20,2,27

柏崎市の吉田と申します。原発立地に住む一母親の視点から、感想を述べさせていただきたいと思います。
まず、この度このような素晴らしい企画を都会ではなく、この世界一の原子力発電所有する中越沖地震被災地柏崎にて主催して下さいましたお気持ちに、心から深く感謝申し上げます。

この度の柏崎刈羽での「出来事」は、数十年間に数百機建設されるであろう、これからの人類の「原子力との共存」 に原子力ルネッサンスに転換する臨界期の象徴として、大切な役割と使命を有すると認識しております。
この度の企画をこの柏崎で主催したというこの行動は、「安全」のみならず実は「安心」にも多大なる貢献をしていると参加させていただいて私は感じております。

この度の企画が、再稼動の根拠としての議論では無いというお気持ちは、昨日お聞きしました。しかし、もし、現実的に再稼動をするなら、この柏崎刈羽には、ただの再稼動ではなく、世界への大切なメッセージとともにそれを成す事が「使命」として有ると思っております。
午前中の酒井様のご発言に、原発はビッグサイエンスというお言葉を述べられましたが、この地に住んでいるものとして、原発とは、「平和」を作る大きな使命が有るというのが、私の認識で御座います。 
「平和」とは、世界に対する「安心」・「信頼」に繋がります。それは哲学を持った「人」造りで有ると思っています。
この度は安全でありましたが、自然は未知であります。次に何が起こるかわかりません。
「世界は一つの船に乗っている」というコメントが昨日ありました。原発を積んで、上手く人類が船に載り続けるためには、「平和を作り上げる信頼」が必要なのだと思っております。

この度の震災で、原発の知識がないという現実が「不安」や「風評被害」を生みました。又、消費地と生産地のあまりの温度差に、生産地で住む柏崎刈羽市民は、経済的、物質的のみならず、精神的なダメージを受けました。その柏崎でこのような素晴らしい国際シンポジュームを 開催してくださいました事は、それらを払拭し、はじめて世界一の原発が有るという事に私は“誇り”が持てるきっかけを作っていただいたような気がいたします。

私が心配しているのは、子供達に残すこの地球環境と、子供達がこの震災の後始末を世界の大人達がいかにするのかをじっと見ているという事です。この度の震災での学びが、科学技術のみならず、「平和」つまり、「穏やかな精神環境」を創る為の「人としての思いやりの学び」であることを母親として、祈っております。
情報とは、情けに報いると書きます。メディアは映像と言葉を使った芸術家で有ると思っています。コミュニケーションは、愛情であり、哲学で有ると思います。「信頼・哲学からの再構築」がこの度の再稼動に繋がると思っております。

昨日からの壇上での皆様の温かく、真摯なご発言に、企画して下さいました皆様、世界からいらして下さいました皆様に、心より御礼を申し上げたいと思います。有り難う御座いました。

                                         文責・吉田眞理

年末花火残念会

2008年03月01日 風の戯言


 大晦日の除夜の鐘に合わせた108発の花火が悪天候で失敗し、この企画の現場でご苦労をお掛けした3人の方を岬館に招き一献傾けた。語らざれば憂い啼きに似たり・・・で精一杯にやることだけをやった人間に言い訳も慰めもなく、静かな濃密なひと時が流れる・・・いい夜だった。そのまま『未完成」に流れ、シンデレラになりそうなので駅前までタクシーを拾いに地下道を歩き、一人ひとりを捨てて行きつけの店に行ってが閉店だからと箒で吐き出され、代行が見つけて家に送り届けてくれた。

 何か嬉しい日だった。ほんとに久し振りにぐっすり眠った。正直、俺は何処で寝ようと何時に寝ようとどんなに酔っていても、今自噴がどんな状況で寝ているのか、夢の中でどんな夢を見ているのかそれをどう感じているかは、寝ていても自覚している。
 しかし、それが何も無かった、のだ。いい睡眠だったと言えばそうだが、野武士としては迂闊だった。

人間は、人間の未来である

2008年02月25日 風の戯言


 風船一揆が無事に終わった。
 無事、と言うのは誇張ではなく、23日の朝に神の微笑みのような晴れ間に飛べて、その直後凄まじい風が吹いた。2日間の嵐は富山や各地方に大きな被害を齎したらしい。一生懸命やっているから、天がチョットだけ飛行を許してくれたのだとしか思えない。
 中の一機が風を読み間違え信濃川を越え山に向かった、との連絡が入った。何年か前、同じ方向に飛んで行き深い雪山の木に引っかかった気球があった。奇跡としかいい様が無いが、たまたまその奥の雪山で前日に雪洞を掘り一晩中酒を飲んで居た2人の男が、俺は今も神様だと思っているが、遭難気球を目撃していてくれた。もしあの時神様が居なかったら、彼女は完全に凍死していただろう、と思う。無線と携帯と彼らの目で場所を確認し、警察を頼み、県会議員を動かし、県警のヘリに夜間出動してもらい、燃料切れの瀬戸際で救出できた。現場の責任者として、6時間ぶっ続けでどなりまくり、拝み続け、一人の若い女性の命を繋ぎとめた。
 山に向かった気球は、その時の気球と同じだ、という。思わず天を仰いだが、同じ失敗は無かったようだ。高度を上げ、栃尾まで逃げ、嵐の前に撤収できたという。
 もう、パーティにだけの参加になってしまったが、古い仲間達と豊かな時間を過すことができた。

 「人間は、人間の未来である」はアンドレ・マルローの言葉と記憶していたが多くの人たちが使っていたようだ。詩人フランシス・ポンジュ、サルトル・・・。人は思い描いた自分になれる・・・中村天風にも通じるものがあるように思える。楽観的かもしれないが、楽観は意志に属し悲観は感情に属するとの言葉を思い出せば、人は意思により自分の未来を創ることができるのだろう。
 誰かに好かれることも、誰かに褒められることもそんなことは何も期待してないが、時間を忘れて飲める仲間ってのはいいものだと思う。

人間の最大の武器は、信頼なんだ

2008年02月18日 風の戯言


 昨日は一日中ベッドに潜り込んでいた。
 バリと寒波の温度差に、さすがにこの老体は対応し切れんかったようだ。バチが当たった・・・?

 文春3月号の武田邦彦の「日本よ、『京都議定書』を脱退せよ」は我々が原罪を感じている環境問題は、実は巧妙に仕組まれた国際的なゲームなんだという視点は大切なんだろう。物事をナイーブに受け止めてだけ入られないようだ。同氏の著書「環境問題は何故ウソがまかり通るか」はベストセラーだそうな。一読の価値ありと見た。
 「ローマ法王と昭和天皇の出会い」ヨゼフ・ピタウも面白かった。ヨハネ・パウロ?世に身近に使えた著者が法王の神に仕える厳しさと温かさを伝える。「最期の一呼吸まで」自らに課せられた任務を全うしようと言う姿勢には感動した。 パーキンソン病を老いた身に抱え、それでも尚「キリストは十字架から降りられましたか」と自らの重荷を下ろそうとはしなかったという。
 俺は逃げていたのかもしれない。俺はもっと大きな荷物を背負わなくてはならないのかもしれない。厭だなぁ、そういうの。

 タイトルの「人間の最大の武器は、信頼なんだ」は麻木久仁子が書評を書いている伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」で主人公青柳が逃走で追い詰められた時に口にする言葉、なんだそうだ。
 俺にも社運を賭けた闘争の中で、お互いに組織の存亡をかけ、生かす殺すの大喧嘩した仲間がいる。結局ドローに終わり、何も実らなかったけれどその後も時折酒を飲み交わしている。男が酒を飲む仲間、ってのはそんな相手が一番いい。