昭和万謡集
文春12月号に「昭和万謡集」選考座談会が載っている。
五木寛之、藤原正彦 内館牧子 ジュディ・オング 片山杜秀 酒井順子。
昭和20年から60年までの各自「一押し」の歌謡曲110曲。
選ばれた曲名を辿れば自分の人生も見えてくる、なてね。
世界最高の文化人類学者レベー・ストロースなる人が世界中の音楽を聴いたけれどどこの曲も好きになれない。
ところが、日本で歌謡曲を聴いたら自然と胸に浸み込んで来たそうな。
藤原正彦は「もののあわれ」が根底にあることに気が付いた、という。
全ての「もの」がやがて命尽きて消えてゆく、その哀しさを日本人は心の奥底に沈めている。
そんな、哀しいけれどアンカのような温もりがある。
言って仕舞えば、それだけのことでしかないのだが・・・
濁流の時代
子供の頃から「本屋のツケ」が効いた。
南鯖石村にも書店が一軒あり、学校の帰りにはマンガを買って帰った。
霧隠才蔵やハックルべりーは俺の英雄であり親友だった。
マンガみたいな性格は、そのころの友達が悪かったからかも知れない。
浪人時代、神田の出版社で住み込みのアルバイトをしていた。
注文のあった本を自転車の荷籠に乗せ、お茶の水の日販や東販に届けた。
夜は小宮山量平社長のサロンみたいで著名な来客も多く、お茶出しも楽し過ぎた。
左翼系の出版社なので、向かいのビルから何時もカメラが覗いていた。
今日市内の書店に行ったら近い内に店を閉じる、とか聞いた。
25歳で柏崎に戻って来て心の休まる店の一つだった。
未だに、本を電話で注文し届けて貰っている。
勿論「ツケ」だ。
店先で、無駄話が楽しめる、そんな店がまた一つ消える。