ボヤキ禁止条例

2018.12.25 風の戯言

平成30年も間もなく終わろうとしている。
今年の漢字は「災」であるという。西日本豪雨や北海道地震など大きな自然災害が続いた。
地球温暖化の影響だとすれば、自らが求めた人工的快適生活の報いなのかも知れない。
崎が中越沖地震以来大きな災害に襲われなかったのが幸いなのだが・・・。

娑婆の景気は戦後最長に並んだ可能性があるそうだ。
だけど我々にその実感はなく、何処の国の話かとも思う。

特に柏崎の経済環境が暗過ぎる。
イトーヨーカ堂の閉鎖、ゼロックスの撤退、原発の再稼働問題等あり暗くならざるを得ないのかも知れない。

しかし、市民が「ダメだ、ダメだ」とみんなで大合唱していたら、自分だけでなく地域の心も未来も暗闇に落ち込んでしまう。
人間は言葉で生きている。
弱音を吐けば運に逃げられ、多少ホラでも元気を出せば運は向いてくる。
運命の女神はワリと単純なんだと思う。

柏崎に戻ってきたのは25歳の時だった。
夢破れ、多分暗い顔だったと思う。
だけど終生の地と思い定めて「いいとこ探し」を始めたら楽しいところが一杯あってビックリした。
柏崎ではいろいろな分野で頑張っている人達が多い。凄いね ! 

ノートルダム清心女子大学名誉学長故渡邊和子は「置かれた場所で咲きなさい」と言う。
石段の隙間でも花は咲くのだと思う。やはり天下の柏崎だね。

不満があったら市長や市会議員や市役所職員の悪口はいくら言ってもいい。
彼らの任務は市民の幸福を実現させることであるからだ。
だけど、役人に文句を言っているだけでは何も解決しない。

基本は自分達の経済的自立をどうするか。
自分達の柏崎をもっと明るい町にしないと子供達は帰ってこなくなるし、若い人達がいなくなる。
安心して生活できる町でなければ人生を生きる場所ではなくなると思う。

柏崎をどんな町にしたいのか、柏崎がどんな町なら自分は幸福なのか、本気になって議論し方向性を決めないとないと市長はまた何を言い出すか解らないぞ。
少なくとも「ボヤキ禁止条例」を制定したら、と考える。

ボヤイていたって、何も始まらないし何も進まない。

柏崎には新幹線もない。
空港もない。ロケット基地もない。でも柏崎ほど素晴らしい町はないと思う。
みんなで花を咲かせれば、柏崎は行列の出来る町になるかも知れない。

メリー・クリスマス ! そして良いお年を !

柏崎日報 12月22日 掲載分

「運」について

2018.12.15 風の戯言

大谷翔平の目標達成マンダラシートについて書いたことがある。

高校1年生の時、2刀流でドラフト1位指名を獲得する為にどうすべきか。
投打の技術的な目標設定は理解出来るが、「運」を呼び込む為に「ゴミ拾い」までシートに掲げていたのにビックリした。
運とは、人知を超えた神の領域だと感じているからだ。

しかし、体験的に言えば「運」には何度も助けられた。誰かに見守られている、そんな感じがする。
子供の頃、「俺は運がいい」と言ったら、義兄が俺を抱きしめて泣いてくれた。5才で母を失い10才で父は逝った。
親代わりだった兄姉達のその温もりを知っていながら、何故もっと真面目に生きられなかったのか・・・。

「間一髪」という言葉があるが、忘れられないのは小村峠で「空に石が浮いていた!」時だ。
一瞬「落石 !」とブレーキを踏んだが、大きな石はボンネットを大破し、谷に落ちていった。
フロントガラスに飛び込んだらどうなっていたのか・・・。「落石注意」だってねぇ・・・。

宮平の沢の河床工事では、お昼休み前に現場に行き「少し早いけどお昼にしないか」と声を掛け、みんなでワイワイ言いながら現場小屋に戻った瞬間、今まで仕事をしていたその場所に、山の斜面が崩れ落ち、現場は完全に埋まってしまった。
もう一瞬遅かったらと思うと今でもゾッとする。

そんなことが数え切れないくらいある。これはやはり何かの「運」としか思えない。

女房のご機嫌取りにと結婚記念日に旅行に連れ出した。
しかし大積の高速道路でスリップし、路側と中央分離帯のケーブル支柱をなぎ倒して車の前後はシッチャカメッチャカ。
幸いドアは開いてくれて脱出でき、後続車もなく追突事故を免れ、全くの無傷で、今もフテブテしく生きている。

あれ以来女房は車の助手席で四肢を踏ん張り、もの凄い形相で俺を睨み続けている。フンだ !

経営のリスク管理は動物的なカンなのかも知れないが、幾らザイゴモンでも痛い目に何回もあっていれば「失敗の本質」を見る目は否応なしに身についてくる。
しかし「危機一髪」で助かることが多いとはどういうことなんだろうと思う。
会社の仏壇には毎朝水を供え、花を育て、目についたゴミは出来るだけ拾おうと思っている。
だが、そんなことで神が微笑んでくれるのだろうか。不思議な世界だ。

柏崎日報12/8掲載分

2018.12.03 風の戯言

秋風や白木の弓につる張らん    漱石

自然の美しさを自分の目で発見すること。

人間の心の中の真なるものと偽なるものを見分け、そして真なるものを愛すること。

寺田寅彦が漱石から教わった2つのこと、だそうだ。

本を読んでいて久し振りに森田草平の名前に出会った。
こんな日もいいもんだ。

山茶花

2018.12.02 風の戯言

山茶花の人待ちて咲く心あり

夕暮れる庵で山茶花語りけり    お粗末

さざんかさざんかさいたみち
たきびたきびだおちばたき
あたろうかあたろうよ
しもやけおててがもうかゆい

雀の涙

2018.12.01 風の戯言

窓の外の餌を啄みに来る雀が1羽、最近見えなくなった。

遊んでいろよな、雀でさえも生きる為には苦労する。  春風亭柳昇