組織と個人
組織には目的がある。
その目的を実現するためにヒト・モノ・カネが集められ、運用は組織の長に全てが委ねられる。従って長はその目的に合致した結果を出さなくてはならなず、結果に全責任を負う。努力や運不運は評価の外にあり、結果だけが全てになる。
しかし、当然のことながら組織はヒトが動かす。リーダーとヒトが同じ価値観を共有し、目的達成のためのプロセスに対する理解を共有しないと組織目的に合致しない齟齬が生じる。
経営品質アセスメントでは経営の重点を「社員重視」に置く。社員が組織の一員であることに満足しなければ「顧客本位」「独自能力」「社会との調和」という経営基本理念を構成する他の要素は意味をなさなくなる。
「社員重視」とは何なんだろうか?
リーダーは継続的な業績を実現するために、社員の自主性・創造性が発揮される環境を整え意欲や能力を伸ばすことであり、高い顧客満足を実現するのはやはり満足度の高い社員であるはずであり、企業の高い独自能力の原動力は社員一人ひとりの意欲と能力だ、と教科書には書いてある。
意欲とは何だ?
俺は未来に立ち向かう「心」だと思う。心は感情とは違う、行動をコントロールする力だと思う。現在の一瞬先は未来であり、そこに至る時間が遠い未来ほど不確定条件は多く不安は大きくなる。その不安を乗り越えるために勇気を奮い立たせ、未来を自分にひきつけようとする心、それが意欲と言うものなのだろう。
意欲のない者に未来は来ない。俺はそう思う。
社員は組織の目的達成のために集められ、給与を貰う。社長と言えども組織から給与を貰っている以上組織に不利益を与える言動はしてはならない。
国益と言う言葉がある。全体の幸福のために何を優先させなくてはならないか、と言う問題だろう。
佐藤優の本はいろいろなことを考えさせる。
国家の罠
本を読める時間が戻ってきた。
きっかけは文春7月号の「21世紀最大の発見 ユダの福音書」。著者の佐藤優氏に惹かれ始めている。
「ユダの福音書」発見の衝撃がやがてキリスト教を変え世界を変えてゆくのだろうという視点は鋭い。世界史に興味を持つ人に一読を薦める。
「国家の罠」は佐藤優の最初の単行本かと思うが、今その本を読んでいる。外務省職員で「鈴木宗男事件」に関わり現在執行猶予中の身ながら己の信ずるところをもう既に何冊か精力的に出版している。
外務省の宿願、北方4島返還に精魂こめて活動している最中、政策の変更に伴う国策捜査に翻弄されながらも、権力闘争のバックに流れる構図を内政におけるケインズ型公平配分路線からハイエク型傾斜配分路線への転換、外交における地政学的国際協調主義から排外主義的ナショナリズムへの転換という2点から見つめている。
小泉政権の歴史的な意味をこれほど明確に提示している人に始めて出会った感がする。