蛍
夕闇の中、庭に佇んでいると一匹の蛍が飛んできた。
目の前を何度か舞い、ベランダの屋根に止まって動かなくなった。
可哀想に、と思い何とか飛ばしてやったけど、やはり屋根に止まってしまった。
そこが彼の安息の場所だったのかも知れない。
「余計なことしないでよ!」と蛍に怒られてしまったような気がした。
象は最後の時を知ると、群れから離れ、知らない大地に横たわるという。
彼等の行くそこには何があるのだろう。
老兵は死なず、ただ消え去るのみ。
マッカーサーで有名になった言葉だが、高齢になっても会長や理事長を辞めなくて困っている、と相談があった。
「殺せ !」と一言アドバイスしてやったが・・・
聞けば、理事長の現職で死ぬと花輪の数が大きく違うんだそうだ。
花輪の数を楽しみに生きている人達もいる、いやぁー、そうなんだ ! 南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・
朝夕、スズメたちと遊んでいる。
俺の顔を見ると直ぐに飛び立って行く・・・憎っくいねぇー。
友人にボヤいたら、石塚さんの顔見て逃げるのはスズメたちだけじゃねぇこってと来た。・・・腹の立つ男だねぇー !
でも、中に可愛いのがいて、とにかく一番に飛んでくる。
多分「デブリ姫」かも知れないが、彼女だけには親切にしていたい。
スズメが俺の愛を受け入れてくれたら、本当に嬉しいんだけど・・・。
5歳の女の子が「もう、ゆるしてください」と書いて死んだという。
あの子のために、生まれて初めて俺は祈りたくなった。
公園の草刈り
我が家の目の前に中鯖石コミュニティの交通公園がある。
ここは素晴らしい環境で、コミュニティが有り、隣に保育所が有り、駐在所が有り、道路を渡れば鯖石小学校がある。
元中鯖石村役場があった所と言えばいいのかも知れない。
子育ての時代にこの環境に魅せられて棲家を構えた。
またかつて、庭の一角に柏崎気球会館があり、前の庭には一余塾が有りパソコン村があった。
私の生涯の中で、最もお世話になったところ、だと思う。
今、その公園の草刈りに燃えている。
帰宅してから15分、電池式草刈り機を押して僅かばかりの面積を刈る。
15分も草を刈ると電池も我が体力も限界に来て、家に帰って横になる。
元土方が何とも情けない限りだが、少しだけでも公園が綺麗になると何とも気持ちがいいのだ。
地域に少しだけでも恩返しをやっておきたい。
本当は自分が気持ち晴れるだけなんだけどね。
朝晩スズメたちに餌を撒いて、少しだけ遊んで貰って、夜は星を見て過ごす。
何と贅沢な暮らしなんだろう。