ものくれ婆さん

2017.07.24 風の戯言


 雨の日の鯖石は、静かだ。
  時折、通り過ぎる車の音がするだけ。
   こんな宝物のような生活を楽しんでいる。

 庭の芝生の脇に30坪ばかりが節子の農園。
  畑を耕し、タネを蒔き、苗を植え、柵を作り、   作業に夢中になっている。

 農園で採れる野菜は、食卓を賑わし、会話は「美味しいね」だけ。

 天の恵みか、僅かな農地から採れるキュウリ達は二人の生活には十分過ぎ、子供達や会社や知人達にお裾分けしている。

 姉たちの話を思い出す。

 体が弱かった母は朝早くから畑に出て、午後は床に伏せっていたという。元気な午前中に鼻歌交じりに畑仕事をし、後はダウンしていたのだろう。

 その母は「ものくれ婆さん」だったという。
 昔は、乞食も田舎周りをしていたらしい。しかし、田舎の乞食は貰いが少なかったようだ。そんな彼等に母は大きな御握りをそっと持たせ、近くのお堂で休ませていたという。

 母をよく知らない自分にとって、嬉しい話だった。

 血は繋がっていないはずなのに、節子さんは畑で採れた野菜を皆に運ぶのを何よりの楽しみにしている。そんなことが出来るのが、何よりの幸福なんだという。

 昔、閻魔堂の近くに「加藤のオババ」なる人が居たそうな。
 飢饉の時に炊き出しをした話が何処かに残っていた。
 祖先の一人だという。
 嬉しいね。

 雨の夜は色々なことを思い出す。

衝撃!  NHKスペシャル

2017.07.23 風の戯言


 昨日のNHKスペシャル
 「AIに聞いてみた・どうすんのよ!? 日本」は衝撃的だった。
 夜7時半から10時10分前まで、正味125分。

 内容もさることながら、社会問題をAIで解析してみようという試みは今まで考えたこともなかった切り込み。でかしたぞ !

 7000種に及ぶ切り口の関連性と変動を解析している。
 それが何を意味しているのか、今後の研究が大切だろうし、どう活かすのか楽しみだ。

 特に「40代ひとり暮らしを減らせば日本がよくなる」
 逆を言えば「40代一人暮らしが日本をダメにする」とかなり深刻なテーマになる。マツコ・デラックスと有働由美子アナがが軽妙且つ本音で番組を進めてくれたのが「救い」になった。

 ただ、都会での生活で、不定期労働者の収入が12万円、家賃が4万円以上なんて生活が、今後の不安を含め何処に幸福があるのか、憂鬱になってきた。
 人の幸せは、お金だけじゃないけれど、お金がなければ夢も見れないしチャレンジするエネルギーも薄れてしまう。

 一見華やかな首都圏の、虚ろな幸福感を、地方都市がそんな人達の人生の受け皿にならざる時代が近づいているのだろう。

介護用ベッド

2017.07.22 風の戯言


 夢を実現しようと思ったとき、大きな壁にぶつかる。
 そこで諦めてしまうのか、挑戦して行くのか、分かれ目になる。

 「立ちはだかる壁には理由がある。
   我々がどれほど本気か照明するためだ」  7/21 「柏崎抄」

 挑戦すれば失敗の山が出来る。それは「DNA」という記憶素子に書き込まれ、人間はそうやって生き延びてきたのだろう。

 オレは75歳を過ぎた。
 バイクは諦めたけれど、まだやりたいことは多い。
 経年劣化が激しくなり、元々貧弱な記憶能力が極限に達している。何とかしなくてはならない。

 本を読む量は多い法かも知れないが、残念ながら「メモを取る」習慣がなかった。ノートに細いペンシルでメモを取りながら本を開く。単純だが、今の夢だ。それは机の上でだ。

 楽な姿勢で本が読みたくて、看護用ベッドに変えた。
 些か自尊心は傷が付くが、近い未来「必需品」になりそうなので大枚を叩いた。女房の金だが・・・。

 これがまた寝やすい。
 これは優れものだね。

 でも、本を読む前に寝てしまっている。

 オレは何ものなのか?

バイク免許断念

2017.07.20 風の戯言


 「おーーい、オレ兄貴だよ、判る?」

 「・・・判ったから、もう少し寝かせてくれ・・・」

 そんな会話が聞こえてきそうな、二人。

 バイクの免許を断念した。
 75歳の誕生日までに取得しよう、と意気込んでいたけれど、転倒したバイクの起こし方、スタンドの建て方などでもう息切れしはじめ、バイクに跨がる練習し始めたら足が揚がらずギブアップ。こんな筈ではなかったけだけにガックリ!

 でも、残念だけど思い切りが出来た。

 バイバイ !

様々事ありて夏が行く

2017.07.19 風の戯言


 いろいろ有り過ぎて、何から書いたらいいのか判らない一週間。

 16日には倅の第二子が生まれ、17日に鹿嶋まで孫の顔見に日帰り大人の休日切符。東京駅まで息子が送り迎えしてくれたので助かったけれど、ヘロヘロ。みんなの元気そうな顔が何よりのお土産。

 そして今日は建設業時代の先輩のお通夜。97歳。
 多くの現場を共にしたけれど、忘れられないのは石黒風張農道の時。谷底に資材を送る索道のアンカーがぶっ飛び、ウィンチを蒔いていた「サジン」目がけて埋めていた木が飛びかかり、それはウィンチ小屋の仮設柱に当たり、取りあえずOK。
 しかし、索道に吊したコンクリートを入れた大きなバケツが落下、下の型枠の中に居た仲間の頭上に・・・幸運の女神は此所にもいてくれた。バケツは大きな音を立てて型枠の外側に・・・。
 誰一人怪我をすることもなく、「いやー、たまげたのぉ」で事が済んだ。

 女房は俺のことを「信心深い」と言うけれど、一瞬で命拾いを繰り返すと「誰かに見守られている」としか思えなくなる。
 「人生なんてゴミだ!」と呟きながらも、誰かが見守っていてくれる人生は嬉しいものだ。人に感謝し、自分の幸運を縁ある人達にお裾分けしてやりたい。

 後期高齢者になり、一丁前のことを言うようになったのかな?