法句経(ダンマパダ)

2007年11月08日 風の戯言


 法句経には静かな時が流れている。

 こんな教えがある。

「もしも愚か者が、
   みずから愚かであることを知るならば、
    すなわち賢者である。
                          愚か者でありながら、しかも自らを賢者だと思う人こそ
                            愚か者だといわれる」          六三    

 また
 「愚かな者は、自分にありもしない尊敬を得ようと願う。
   修行僧の間では高い地位を望み、僧院にあっては支配権を望む」       七三

 「私は知っている」
  と言う人には、教えてくれる人は現れない。
 「自分は仕事が出来て、凄いのだ」
  と言う人には、協力する人は現れず何時か必ず失敗する。

 「私は正しいわけではない」
 「自分はどこかで間違いを犯すかも知れない」
  
 自分は愚か者だと気がついている人は、日々学ぶことが出来る、といわれている。

 他人に「馬鹿だ」と言われるとムカッ腹が立つ・・・この矛盾が人間なんかな・・・。
 

唐招提寺

2007年11月07日 風の戯言


 何故か急に鑑真和上にお会いしたくなって唐招提寺を訪ねた。修理中の金堂をすり抜け鑑真霊廟に急いだ。
 「天平の甍」にあるとおり唐で既に高僧であった鑑真が何故5回の難破を乗り越えて失明までして日本に着たのか、何時かまたその心に触れてみたいと思っていた。
 霊廟の前で一人の男が、廟に何事かを語りかけまた沈黙していた。この男も迷っているのだろう。

 初期仏教の法句経「ダンマパダ」にこんなのがある。

 「全てのものは無常である」(諸行無常)と
   明らかな知恵を持って観るときに、
    人は苦しみから遠ざかり離れる。
   これこそが人が清らかになる道である。

 人は生まれ、人は死ぬ。
  たったそれだけのことに思い至ると、心は静寂になる。
  全ての真理が見えてきて、生きる勇気が湧いてくる。

奈良の旅

2007年11月05日 風の戯言


 随分と昔からの夢だった奈良を旅してきた。
 高校の修学旅行と、写真館への営業に行っただけで、ゆっくりとお寺や仏像を眺める余裕はなかった。
 今回も正倉院展を見に出かけたのだけれど、宿が興福寺の隣で、檜風呂からライトアップされた五重塔が見えるという幸運に恵まれ、東大寺の大仏殿、正倉院は散歩の範囲で拝観できた。
 今生の思い出に法隆寺と薬師寺、唐招提寺を訪れ、思い残すものはなくなった。

 途方もないエネルギーを吸収し、そしてまた途方もないエネルギーを時代を超えて発散し続けている仏教芸術に接し、日本という国と、人間という不思議な存在に思いを新たにした。

鯨波事務所の解体

2007年10月28日 風の戯言


 11月に入ったら鯨波事務所を解体する。

 2度の地震に遭い、さすがに命運が尽きた。
 与板の周光院横山住職に感謝と解体工事の安全を祈願して貰い、内部の片付け、DC機材の移動など一緒に気持ちの整理をしている。

 屋上から見た米山は最高だったと思う。
 いい思い出がいっぱいあるよ。
 長い間、ありがとう。

フルベッキ集合写真

2007年10月23日 風の戯言


 フルベッキという一人の宣教師を取り巻く、幕末を駆け抜けた志士達の群像、いわゆる「フルベッキの集合写真」にまつわる話はネタとしては面白いが多くはトンデモ本なのだろう。
 しかし、加治将一の「幕末維新の暗号」は歴史の裏面好きとしてはタマラない小説だった。
 幕末の長崎、アメリカ人宣教師フルベッキを囲んで総勢46名の群像、龍馬、西郷、高杉、岩倉、大久保、中岡慎太郎、伊藤博文・・・幕末の英雄達が一枚の写真に納まっている。
 馬鹿な、と思う読者の興味を次から次へと資料を並べながら明治維新後の不可思議な天皇家の謎解きをしていく。
 特に北朝系の孝明天皇の後継たる明治天皇が何故南朝の楠木正成を新生日本の精神支柱に持ってきたのか。本当の明治天皇、孝明天皇の子供睦仁親王は大室寅之祐に摩り替えられたのだというヨタ話は以前から聞いていた。その大室が南朝の血筋を引き、フルベッキ写真の志士達はその事を企んだ一党であり、佐賀の乱も西南戦争もみんなその「知った者たちの口封じ」であり、維新後の日本が南朝の価値観の中で動かされてきた、という「解説」は面白すぎる。
 政治の裏側は何時も謎に満ち、生身の人間の欲望を抉り出し、真実を遥か彼方に置いて来ていて野次馬にとってもう嬉しくてしょうのない話の種になる。

 今日は十三夜、いまは雲に隠れているが帰宅したときは綺麗な月が見えた。

 写真は朝の八石山。なんて美しいふるさとなのだろう!

 八石の向こうは小国。南北朝の頃小国氏は南朝により、落ち延びてきた以仁王を匿ったという伝説を今も大切にしている。
 小さな鯖石郷にも幾つかの城跡があり夫々に新田方、足利方に分かれて闘った昔話を聞かされてきた。ここに来て途絶えてしまったけど・・・。直江兼継の「天地人」でそんな昔話が又語り継がれるといいな。