冬至
浅田次郎の最新短編集「夕映え天使」に収録された「特別な一日」はこの現状で読むのに「特別な」意味があるように思える。淡々と語られる「日常的な」退職の日が、実は超巨大高速衛星「MHC」の衝突の日であるという設定が次第に明らかになって行く。「特別な日」を特別な日でなくするために、ありふれた日常的な日にする、そう覚悟して生きる「特別な日」。浅田次郎の短編は、何時も滑稽で、何時も切ない。感動することを自己抑制した、その方が楽に生きられるからだが、人生の中で忘れてきたことを思い出させる。
ジョージ・ソロスのいう「超バブルの崩壊」が始まろうとしている。心配された「環境問題」も吹っ飛ぶほどの社会経済の混乱が起きるのだろうけれど、「明日は昨日よりも明るく希望に満ちているはず」という言葉を信じ、また前のめりに生きていくしか手はないのだろう。立ち止まって傍観する・・そうは出来そうもない。
今日は冬至。雪国では望むべくもない晴天で、近くの鯖石川の堤防を小一時間ほど妻とランと3人で歩いた。素晴らしい環境で生活させて貰っていることに感謝。静かなこの風景は天からの贈り物に違いない、と思う。冬至、明日から少しづつ明るい時間が増えて行く。
世界同時直下型大不況
ニュースメディアを見ていると、確かに世界は一体となって息づいているのだ、とつくづくと感じる。FRBがゼロ金利に踏み切った、手札はもう何もない。明日、日銀はどんな決断をするのだろう。明確なリーダーを持たず、世界中がカオスの世界に吸い込まれていく。
どんな苦難の時代にも、人が生きている以上108の煩悩がなくなるわけじゃなし、商売のネタは尽きないだろうとタカを括っているが、生き延びるには相当の情報力と決断力が要るようになるだろう。ニュースから目が離せない。
閑話休題
加治将一の「舞い降りた天皇」は楽しい古代史だ。原田常冶の「古代日本正史」、「上代日本正史」も面白かったが現地調査と文献の読み込み、構想力は多分現代の古代史を書き換える迫力がある。小説仕立てだけれど、これも新手の読者サービスか?
現代も古代も、夫々の時代を必死に生きた、いや生きている人や自分がいる。どんな日常を暮らしていたのか、瞑想を巡らせるのも楽しい時間だ。