さらばモスクワ愚連隊

2015.08.30 風の戯言


 高柳・萩の島の田圃に粋な案山子があった。

 些か唐突に現れた風景に思わず車を止め、こんな悪戯をする奴らと酒が飲みたくなった。
 高柳には言い仲間がいっぱいいた。みんないい酒飲みだった。

 嬉しくなって、久し振りにじょんのびの湯に浸かってきた。

 湯の中で懐かしい顔に出会った。
 癌で20キロも痩せたという。

 もう40年にもなるだろうか ?
 彼が小さな店を、当時1億数千万も掛けて新築したのだ。
 彼は言葉少なに「俺には夢がある」と語っていた。
 
 何かをやろうとすれば、当初思ってもみなかった障害や条件が重なって押し寄せてくる。
 文字通り、俺にとっても命をかけた戦いだった。

 生涯を掛けて戦いきった男の、爽やかな姿がそこにあった。

 
 老兵は死なず、ただ消え去るのみ。

 「人生は酒だ!」
 と熱く語り合った時間が静かに流れてゆく。

精霊

2015.08.18 風の戯言


 俺は死後の世界を信じない。

 しかし、霊はある、と思う。

 まだ盆の15日、肩の張りが尋常でなく、4月に亡くなった姉が俺の背中に負ぶわれ「西の入りの寺(安住寺)に連れてってくれ」と呟いていた。

 2,3日休んだら少し元気が出てきていたので、姉と一緒に夕陽の寺に行った。

 住職に、寺の本堂でお経を上げて貰い、姉の霊と、十六代の先祖達とここに眠る父母にお参りした。

 静かな時間が流れていった。

 お寺を出ると肩が軽くなっていた。

 「おさちゃん、ありがとう」と姉が呟き、「良かったね」と俺。

お盆

2015.08.13 風の戯言


 お盆になった。

 先祖の精霊達が家族の元に返ってくるという。
 美しい日本の風習だ。
 いろいろな思いを地上に残し、旅立っていった精霊を迎える。

 俺は死んだら「無」に帰ると信じ、そこに現世の救いを確信しているのだけれど、死んでまで「霊」で纏わり付きたくないからね。

 考えてみれば、夜空に煌めく星たちの中で、どうしてこの星にだけ人間なるものがいるのか ? 子供のような疑問が沸く。
 人はアフリカの地を出でて、遙かな旅をしてきた。
 より住みやすい土地を求めて旅をし、慣れぬ環境の中で必死に生きようとした時に、知恵を得たのだという。
 動物の中で、人間だけが違う生物になっていたようだ。

 他の動物は生きるために他の動物を食べる。
 それは人間も変わりがないのだが、他の動物を繁殖させ、飼育して殺して食べる。変な動物 !

 戦後70年とかで、今一度歴史を見直す風が吹き始めた。
 曰く、日本が負けたのはアメリカだけであって、中国や韓国には負けていないんだ、だからゴチャゴチャ生意気言うな !

 いや、あのときは正しくとも、今の価値観から言えば迷惑かけたことは事実。もう一度整理し、未来に向かおうよ !

 日本の素晴らしさはアメリカの焼夷弾で無差別爆撃を受け、歴史上初めての原子爆弾の洗礼を受け、国内にアメリカ軍の駐留基地を提供しているのに、一言の恨みも言わない。
 まさに、悪人が一晩で聖人になってしまったような具合。

 歴史には表と裏があり、人間の言葉にも表と裏があり、本音の部分は簡単には出てこない。多分、心から愛する人にしか言わないのだろう。

 
 お盆で、俺もおかしくなったのかなぁ・・・

 写真はパラオの上空でセスナを操縦するワタシ !

立秋

2015.08.08 風の戯言


 暑さの中に、少し和らぎが拡がっている。。

 そう言えば、今日は「立秋」
 夜の風が少し涼しくなった。

 一昨日は第四銀行の納涼会、そして昨日は会社のバーベキュー大会、ギターとフルートの演奏も入って、浜辺の夜を楽しんだ。

 今夜は、東京から帰ってきたばかりのころ、今の「新潟病院」の建設工事で一緒に働いていた女性軍達と近くの居酒屋で飲んだ。

 もう40年から50年近く昔の話になるのだろうか・・・。
 みんな初老のおばさん達になって、でも「時」を感じさせない。

 昔話と近況が入り交じって、時は自由に空中で乱舞する。

 いい、一日だった。

 今日はよく眠れそうだ。

ブルームーン

2015.08.02 風の戯言


 鬼ヤンマが飛来し、アゲハ蝶が舞い、アブラ蝉が庭で羽化し,書斎の窓辺では若い稲穂が静かな海の波のように揺れている。

 近くの居酒屋で酔っ払った我を心配し、ブルームーンを語りながら、若い友人が田圃道を送ってきてくれる。

 夜はタヌキが畑のトマトをかぶり付きにに訪れ、収穫の手伝いをしていく。

 8月になった。
 昨日はお寺の盆うち、今夜は親戚のお通夜で懐かしい顔と「お元気でしたか」と語り合う。

 怒りや悔しさを風の中にまき散らし、無言で月を見ている。

 自然の中に溶け込んだこんな生活に酔い痴れている。

 写真は石塚誠さんのブルーナイトヨコハマ。
 手前の大型船は「飛鳥」か?
 遠くに「ベイブリッジ」が見える。

 我が青春の山下公園、大桟橋、沖中仕の生活が蘇る。