娘と娘の娘

2009.06.01 風の戯言


 9ケ月を過ぎた娘の娘が土曜日に泊りに来る。最近はそれが楽しみになってきた。
 人に愛されることの心地よさを知ったのか、目が合うと笑顔を向けてくる。俺にもこんな時期が有ったのかと少し不思議に思ってしまうのだが・・・敗戦の日に家人が裏の横穴に隠れる相談をしていた3歳の記憶と、柏崎の田町に住んでいたころのガスコンロの青い火と玄関の格子戸だけを何故か鮮明に覚えている。
 9ケ月の日常の記憶なんか残るはずもないが、幼子の笑顔を見ているといろいろなことに思い至る。

 2009年のこの日、GMは破産し、アメリカの巨峰が次々と倒壊している。時代は少しづつづれて来て、ひずみが極限に達した時大きな破壊が起きる。弾性限界を越えた時点で計上は元に戻らなくなるのと同じことで、そこから新しい時代が始まるのだろう。日常生活で大きな歴史の変換点を鳥肌の立つような気分で迎えることも、考えてみれば特異なことなのだと思う。
 平凡な日々に、時間は確実に動いている。
 彼女の未来が明るいものであって欲しいと願う。

バラにバラの花が咲き・・・

2009.05.31 風の戯言


 雨の日曜日もいいもんだ。
 新緑が一息ついたようで、此処まで一気に伸びて来た緑が静かに次の時を待っているようだ。自然の妙というのか、若葉の中にバラが清楚かつ艶やかな花を咲かせている。
 前の公園の池には蓮が今まで見たことも無いほどの花をつけ、蓮の花にもこんな色もあったのかと驚いている。目の前の池だから、良く見ていなかったせいもあるけれど・・・。
 八石の山に霧がかかり、田圃の早苗が逞しく伸び始め、庭の花を眺めているのは、いいもんだ。
 世の中の動きに取り残されたような、日常のビジネスの世界から見たら気の遠くなるような風景。会社の売り上げをどうするかだの、大学との連携をどうするか、1兆円産業としての原子力発電所と地域はどうすればいいだの、様々な思いを離れて花に見とれていると「お前、どうするんだ?」と、もう一人の自分にどやしつけられる。嫌な性分だ。

 今日で2009年の5月が終わる。

和重ちゃん !

2009.05.26 風の戯言


 24日、高柳子供自然王国の脇を車をトロトロと走らせていたら見覚えのある美女が道の端にいた。
 チカチカと目が合った瞬間に「おやぁ・・・・和重ちゃん?」「やだぁ・・・ケンタッキー伯父さんかと思もっちゃったぁ」
 久し振りに会ったのになんて奴だ・・・高柳はみんな兄弟で、みんな恋人・・・和重ちゃんの子供は、彼女自身まだ20代の娘みたいな感じなんだが、長男は大学卒業して会社勤め、2番目は夢を追いかけ美容師に・・・夫々の世界で頑張っている。母は年齢詐称しても大丈夫、だね、

痴呆症の練習

2009.05.25 風の戯言


 67歳を過ぎたら大分怪しくなってきた。
 今日は市役所の駐車場で2台の車に擦ってしまった。イヤハヤ・・・。
 忘却とは忘れ去ることなり・・・君の名は・・・忘れた。
 過去は霧の彼方に消えて、現在はハッキリせず、未来はミステリアス。まぁ、記憶喪失が好き勝手に飛び回っている状態。
 要は全体がボーとしてしまうことなのだが、認知症はその始まりが苦しいという。何故苦しいかといえば記憶がマダラであることを認識している、からだろう。
 俺から言えば、そんなことでクヨクヨするのは可笑しい。人間はそうなるのが運命、そうでない人もいるが、なのだから自分が毎日どの変まで進んだか楽しんでしまえばいいことなのだ。
 逆手に取る方法もある。一人で海外旅行をすることも多いのだが、困った時にはボケた振りをする。大体言葉がわからないのだから正気だかアンポンなのかは判らない。「御親切に、すみませんねー」なんて「志村」みたいに言いながら敵を観察していると「いいカモ!」とばかり吹っかけてきたりする。
此処が勝負、という時に「キラリッ!」と目を光らせて「違うだろうが・・・!」と電卓をもぎ取って計算しなおして見せると、相手は口惜しそうな、情けない顔して睨んでいる・・・意地悪爺さん・・・・へっへっへ、

 何時、何処で会ったか良く覚えていないけれど、マイクロソフトの古川享さんと話したことがある。パーティの席だったので飲み物片手に接近遭遇した程度だったのだけれど、その時の彼の言葉が忘れられない。
 「石塚さん・・」渡した名刺を見ながら彼は続けた「ビジネスは目的じゃないんですよね・・・多分、人と出会う為の手段なんだと思うんです。だから、良い人と出会う為に良いビジネスをしなくてはならないんですよね・・・」
 今もその言葉を思い出すと目頭が熱くなる。その時まだ彼は30代だったと思うけれど、こんな若者がリードするコンピュータの世界を選んだことは間違いじゃない。そう確信したことを今も忘れられないでいる。
 痴呆症は進んでいるが、俺には宝物のような言葉が記憶のそこに残っている。思いっきり楽しんでやるか !

新緑の高柳

2009.05.22 風の戯言


 新緑の高柳を満喫してきた。
 黒姫山の斜面はまだ地肌が出たまま。ブナや他の雑木の新緑が綺麗で、木陰の葉さえ輝いている。夏とは違う佇まいに、そうか日の当る葉が柔らかくて下の木にも太陽の光をお裾分けするので、木全体が柔らかな緑に覆われるのだと確信した。時が移ろい行く姿は、やはり美しい。

 門出の和紙工房(小林康夫)さんを訪ね、紙を見せてもらい、辞して車に乗ろうとしたら豚の鳴き声が聞こえた。「いゃぁ、近くの人が猪の子供を捕まえてね」ということで覗いてみたら3匹の「ウリ坊」が元気に囲いの中にいた。
 イノシシと人間が共存している。良いもんだ、ね。

 今日は午前中は新潟経営品質協議会で笹木事務局長と産業大学寄附講座について協議。午後は新潟県電子機械工業会の通常総会、入会早々理事に名を連ねることになった。役割は柏崎の会員を増やすこと・・・難題だのう?
 懇親会の席上、久し振りに平山元知事と暫らく歓談。相変わらずの駄洒落が飛び交い、彼の健康さを推量する。
 元日銀支店長、現国際情報大学長の講演時の現代を読み解く経済認識は流石だと思った。現代経済を見通すこれ以上の知性は無いように思う。次はどう動くか、それが問題だ。

 懇親会の後長岡でもう1軒寄り道し、電車で柏崎について行き付けのママの店にも寄り、多くの面識者とじゃれあい先ほど帰宅。
 忙しくも楽しい67歳の誕生日。