蒼ざめた馬を見よ
五木寛之の鮮烈なデビー作「さらばモスクワ愚連隊」を久し振りに読んだ。2階の本棚にも見当たらず、「蒼ざめた馬を見よ」と一緒に取り寄せて貰った。
行間からジャズが流れてくるような鮮烈な感動はもうなかった。
1967年、絶望の中で藻掻いている時、この本には確かな何かがあった。ジャズも、文学も、生きることにのたうち回って苦しんでいる時でないと、心に響いてこない「何か」があるのかも知れない。それにしても、もう50年も昔の話になるのだ・・・。
「蒼ざめた馬を見よ。これに乗るものの名は死。黄泉これに従う。」出典はヨハネ黙示録出そうだが、幸いにして知らない。
まだ読んでない人に一読を勧める。
全く色あせていない。
もう1冊、「生命の星の条件を探る」も取り寄せて貰った。筋萎縮症に苦しむ東大准教授阿部豊さんの本だ。病魔に自由を奪われ、ベッドから星空を見る事を強いられた一人の科学者が、宇宙はどう考えているのか、読んでみたい。
車椅子の天体物理学者スティーヴン・ホーキングと読み比べてみるのも楽しいのかも知れない。
カッサンドラ・ウィルソンのCDを引っ張りだし、聴いている。
さらばモスクワ愚連隊
些か唐突に現れた風景に思わず車を止め、こんな悪戯をする奴らと酒が飲みたくなった。
高柳には言い仲間がいっぱいいた。みんないい酒飲みだった。
嬉しくなって、久し振りにじょんのびの湯に浸かってきた。
湯の中で懐かしい顔に出会った。
癌で20キロも痩せたという。
もう40年にもなるだろうか ?
彼が小さな店を、当時1億数千万も掛けて新築したのだ。
彼は言葉少なに「俺には夢がある」と語っていた。
何かをやろうとすれば、当初思ってもみなかった障害や条件が重なって押し寄せてくる。
文字通り、俺にとっても命をかけた戦いだった。
生涯を掛けて戦いきった男の、爽やかな姿がそこにあった。
老兵は死なず、ただ消え去るのみ。
「人生は酒だ!」
と熱く語り合った時間が静かに流れてゆく。
お盆
先祖の精霊達が家族の元に返ってくるという。
美しい日本の風習だ。
いろいろな思いを地上に残し、旅立っていった精霊を迎える。
俺は死んだら「無」に帰ると信じ、そこに現世の救いを確信しているのだけれど、死んでまで「霊」で纏わり付きたくないからね。
考えてみれば、夜空に煌めく星たちの中で、どうしてこの星にだけ人間なるものがいるのか ? 子供のような疑問が沸く。
人はアフリカの地を出でて、遙かな旅をしてきた。
より住みやすい土地を求めて旅をし、慣れぬ環境の中で必死に生きようとした時に、知恵を得たのだという。
動物の中で、人間だけが違う生物になっていたようだ。
他の動物は生きるために他の動物を食べる。
それは人間も変わりがないのだが、他の動物を繁殖させ、飼育して殺して食べる。変な動物 !
戦後70年とかで、今一度歴史を見直す風が吹き始めた。
曰く、日本が負けたのはアメリカだけであって、中国や韓国には負けていないんだ、だからゴチャゴチャ生意気言うな !
いや、あのときは正しくとも、今の価値観から言えば迷惑かけたことは事実。もう一度整理し、未来に向かおうよ !
日本の素晴らしさはアメリカの焼夷弾で無差別爆撃を受け、歴史上初めての原子爆弾の洗礼を受け、国内にアメリカ軍の駐留基地を提供しているのに、一言の恨みも言わない。
まさに、悪人が一晩で聖人になってしまったような具合。
歴史には表と裏があり、人間の言葉にも表と裏があり、本音の部分は簡単には出てこない。多分、心から愛する人にしか言わないのだろう。
お盆で、俺もおかしくなったのかなぁ・・・
写真はパラオの上空でセスナを操縦するワタシ !