酒を飲みたくない病
酒が飲みたくなくなってから2ケ月近くになる。
痴呆症は相変わらずだが、自閉症は少しづつ治癒しているようだ。昨日も岩下尊弘画伯のパーティに出席し、アルコール抜きで最後まで歓談できた。
途中、突然にスピーチを指名され、今は亡き越後タイムス吉田主幹の話を交えて、昔の思い出を語り、80歳、画業一筋35年、70回目の個展を祝うことが出来た。
45歳で、サラリーマンから画家への転向は、同じ年で土方からコンピュータ屋にトラバーユした自分を見るようで、嬉しかった。
学生時代、サマセット・モームの「月と6ペンス」でゴーギャンを知り、後年40歳で家族を捨てタヒチに新天地を求めた生き方に魅了された。ゴッホとの出会いや熱情的な生き方、風のような自由主義に憧れていた。若かったなぁ・・。
与えられた人生をただ平穏に生きることも大切だろうが、ただ一度の人生、思いの丈を生ききることが肝要なんかも知れない。
片田舎で、平穏な夜が過ぎていく。
悪さ古稀
古稀を迎えて惚けることも儘成らず(自覚症状が薄いだけ?)この経済の大混乱の中で先の見えない右往左往している。
自分の誕生日を祝い、東京ではスカイツリーをオープンし祝ってくれている。そんなにして貰わなくても良いのだけれど・・・ナンテ馬鹿な話もしていられない。社員に笑われている。
この日を迎えられたのは、早死にした親達に代わって6人の兄姉が自分達の子供同様に育ててくれたお陰だ。幼い子供を残して旅立つ親の願いでもあったのだろう。
もう、その親の年を遙かに超してしまった。みんなに電話して元気な声も聴き、お礼も言えた。嬉しいね。
子供達からはメールや電話が届き、今度の土曜日に集まってお祝いすることになっている。楽しみだ。
娘からは孫の写真が送られてきた。孫馬鹿には成るまい、と自制していたのだが、決意も緩んできているようだ。
古稀。もう少し悪戯に時間を掛けてみたいと思っている。熱気球、バイクと思っていたが原罪は自分の墓に夢中になっている。墓地は確保出来た。墓は木製にしようと工務店にお願いしている。丸太で囲まれた木の塚なんて、チョット素敵じゃないか!
谷根
何という寂しさだろう。そしてまた、何という満ち足りた気持ちなんだろう。相反する感情が渾然と一つになって時間が過ぎていく。
会社の建設システム課に「高橋まり」さんという華やかな女性がいた。会社を辞め、違う会社に勤めたが暫くして谷根トンネルの崖の上から落ち、亡くなった。
15日、長岡日赤での人間ドックの後、何かに誘われるように六日町まで足を伸ばした。インターを降りて、そういえば随分と前だけどまりさんと美晴さんと営業に出て、回転寿司を食ったことを思い出し、探したらその店らしきのがあった。妻に昔話をしたら覚えていて二人でまりさんの思い出を語っていた。
18日、元の上司の配野課長が「まりさん」の命日の話をしていたと聞き、不思議な縁を感じた。「社長、忘れていちゃイヤだよ」そんな声が聞こえたようで、堪らずに土曜日に花と好きだったビールを以て現場にお参りに行ってきた。
会社経営をしていると、いろいろなことがある。
葉室麟の本に沈んでいる。10冊以上も買い求め、こんな書き手がまだいたのだなと、深い感動の中で読んでいる。
「生ききることだ」と葉室は何時もそう書いている。